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コラム

日本テレビの『カズレーザーと学ぶ。』でエクソソーム治療が取り上げられました。

2023年1月10日(第3回)
『カズレーザーと学ぶ。』エクソソームについて

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エクソソームの変遷と再生医療

当院の再生医療 CTO(最高技術責任者) 山本徳則 医師 が、過去から現在に至るエクソソームの変遷について語ります。

再生医療における自己間葉系幹細胞の役割と課題

私は、今日のように再生医療がもてはやされる以前から、機能性栄養学、再生医療分野で基礎研究成果を臨床応用するTR(トランスレーショナルリサーチ)研究を中心に実施してまいりました。
現在、当院で実施している自己脂肪由来幹細胞点滴療法は、自己間葉系幹細胞(自己MSC)が骨・筋肉・脂肪のような内臓組織や 神経系の組織になることができる能力(多分化能)を持つため、点滴投与により体内の各種組織を修復・再生することが期待されています。

間葉系幹細胞

私たちの体の様々なところに存在する幹細胞は役割が決まっており多分化能がないと考えられていました。近年、研究が進み骨髄・脂肪組織・胎盤組織または臍帯組織・歯髄などから採取される「間葉系幹細胞」は色々な細胞になれる「多分化能」を持つことが分かりました。
脂肪由来は採取が容易で量も豊富なため現実的な幹細胞再生医療に活かせる医療技術として急速に実用化が進んでいます。

間葉系幹細胞とその分化先を示す図

ただ、自己間葉系幹細胞(自己MSC)を用いた治療には課題もあり、その一つが自身の老化とともに幹細胞の再生修復能力が低下してしまうことが挙げられます。
また、採取が比較的容易とは言え、自身の皮下脂肪からの組織採取という体への侵襲の負担なども挙げられます。
しかし、自己でない他家(他人)の細胞を元とした幹細胞治療は、倫理的な問題があり、かなりハードルが高い治療方法となりますので、現時点では自己由来の幹細胞治療が、当院での治療実績から考えても、最も有効な手段と思われます。

エクソソームの役割と可能性

本日のテーマであるエクソソームについて少しお話ししたいと思います。

エクソソームとは、細胞から分泌される顆粒状の物質でおよそ100nm(ナノメートル:1ミリの10万分の1)の大きさで、細胞外小胞(EVs)とも呼ばれ、その役目は細胞間の情報伝達、つまり コミュニケーションツールとして使われています。
エクソソームには、あらゆる情報が詰まっていますので、この一部であるマイクロRNAを取り出して分類することにより、13 種類のがんの判別に利用する『体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト』などの各種疾患の診断ツールとしても、大きな注目を集めています。

以前から(私が再生医療を手掛け始めた頃から)この自己間葉系幹細胞(MSC) から各種のサイトカインが分泌されることが知られていました。

サイトカインとは・・・?

サイトカインとは特殊なたんぱく質 (成長因子)で、細胞同士の情報伝達・細胞の増殖や分化・創傷治癒などに関係した生理活性物質が豊富に含まれており真皮幹細胞や線維芽細胞・表皮細胞に直接働きかけ機能が低下した細胞を呼び覚ます賦活剤として優れた効果を発揮します。最近、注目を集めている再生医療材料であり根本治療ともいえる美容効果をもたらし
ます。

MSCとエクソソームの関係

最近の研究では、さらにこの MSC から分泌されるエクソソームに体の組織の修復効果があるということが分かってきました。
また、先述した自身の老化とともにMSC幹細胞の再生修復能力が落ちることを解決する手段、方法として、赤ちゃんの臍帯(へその緒)などの幹細胞が分泌する活性物質を取り出して併せて投与する「セルフリー・セラピー」や、エクソソームの中の情報伝達物質を組み合わせて、能力を人工的に付け加える「デザインエクソソーム」と言われる研究領域があり、最新の治療開発が進んでいます。
多分化能を持つ体性幹細胞を作成できる自己MSCとそれから分泌されている活性物質エクソソームを組み合わせることにより、さらなるアンチエージング治療が発達・発展するのではないかと私は期待しています。